産休・育休問題を解決するために提案したい2つのこと

最近、産休・育休問題が話題に挙がることが増えてきましたね。環境省の小泉進次郎氏が育休を取得し、トップダウンから「空気」を変えていこうと尽力しています。当該問題に対して、個人的に提案したい2つのことを書きたいと思います。

産休・育休は取れるようにすべき

これから中々に厳しいことを書こうとしているので、大前提となる思想を書くと、当方も「産休・育休は取れるべき」だと思っています。

ただ、小泉進次郎氏がインタビューで言及していた「日本でなかなか取得が進まないのは「空気」と言われている 」という発言に対して、解決すべき論点はそこではないのではないか。本質的な課題への解決策として、トップダウンで空気を作ることが効果的ではないのではないか、ということを本稿では言いたいのです。

参考にしている記事はこちら

取得率向上に向けた課題は職場の空気なのか

実際に職場の方が産休・育休を取るとなった場合に、「自分の頃は取れなかったのにあの人は取れてズルい」と思う方は、果たしてどれだけいるのでしょうか。

それよりは、「あの人が担当していた業務を引き継ぐことになったら、どうなるのだろう」といった漠然とした不安であったり、「業務量が1.5倍になってしまって残業が増えるのではないか」といった業務時間への懸念がよぎるのではないでしょうか。

そう考えると、取得率向上に向けた課題としては、職場の空気ではなく、どうすれば特定の人が長期間居なくなっても問題なく業務を推進できる組織体制を作れるかだと思うのです。

蛇足になりますが、会見の中で、「「休む」という言葉が入っていますが、ぜんぜん休みなんかじゃないですね。子どもを育てる大仕事をやっている理解をさらに広げていきたい。」とあります。

育児が大変な事柄であることは、経験していない当方でも想像に難くありません。ただ、会社に属する者として業務を推進していないという点では、休んでいるのは事実です。「育児が大変か否か」という論点に対しては「勿論大変だと思います」が、「育休を取る人がいることで会社全体として担い手が不足するか」という論点に対しては「不足すると思います」が回答です。

政策を議論する上で、議論している論点は何かを明確にしないと、「じゃあ育休という名前を育児修行に名前を変えよう」とか、よくわからない方向に帰結しかねないなと思うのです。

提案したい2つのこと

「 どうすれば特定の人が長期間居なくなっても問題なく業務を推進できる組織体制を作れるか 」

そこに向けて個人・組織レベルでの解決策は以下2つしかないのかなと思います。

業務の標準化

あの人しかできない仕事がある、あの人しか進捗を知らない領域があるとなったらば、その人がいないと業務が進まないことになります。

サイボウズ等のグループウェアを用いて日次で報告してもらう等の進捗を透明化する仕組み作りがや、スキル向上を見据えた研修整備等、組織として業務の標準化を図る必要があると思っています。

勿論、同じ職場の人が抜けても何とかできるように、個人の意識として専門スキルを高めることが求められていることは大前提です。

タスク処理を今の1.5倍にする

これは各個人のスキル向上の問題です。

いくら業務が標準化されたとしても、これまで3人でやっていた30の仕事を、2人でやろうと思えば、仕事量は1.5倍になります。産休・育休を取れる優しい社会を作るためには、それを担保する個人スキルの向上が不可欠だなと思います。

逆にいうと、その覚悟もないのに、「権利なのだから取れるようにすべきだ!」と声高に叫ぶだけでは、ただ所属する会社の評判が落ちて倒産することになりかねません。

最後に

社会問題を議論している光景を見ていて、論点が混在しているなと思うことがあります。また、各論点に対して、理想とすべき思想と現実的な落としどころが違うこともあると感じています。

関係各所において、何について議論しているのか(論点)が明確になり、現実化するためのアクションとして何が適切なのか、建設的な議論が展開されることを切に願っています。