過去を振り返って落ち込みがちな人が、意識すべきたった一つのこと

ある日の深夜にふと物思いにふけってしまった

「深夜の悩み事に、いいことは一つもない」

生物学的にも交感神経が優位になると睡眠が浅くなり、疲れが取れにくいことは割と有名な話で、だからこそ深夜に考え込むことはデメリットが大きいとされています。

快眠に向けて、布団に入る2時間前にはお風呂に入り、1時間前にはブルーライトを見るのをやめ、アロマを焚いてクラシック音楽を流して、さぁ寝るぞ!と意気込んだある日、ふとこれまでのことを振り返ってしまったのです。

COVID-19の影響で、最近連絡を取れていなかった知人とオンラインで話すことも増えて、感傷的になっていたのかもしれません。

親しい知人ですら動向を知らないまま死に近づく悲しさ

これまで、(一般の人と比べれば圧倒的に少ないものの)一定数の方に仲良くしてもらい、楽しい学生生活を過ごしてきました。中高6年間のサッカー部での生活や、大学4年間のNPO活動の日々は印象深く、その際に交流した人は大切な存在になっています。

特に、印象に残っている一人として、中高で一緒にサッカーをしていたキャプテンがいます。サッカーが決して強い方ではなかった中高において、私はずっと控えだった一方で、キャプテンを務めていた同級生は、関西選抜に入るほどの上手さでした。

そんな上手なキャプテンだったにも関わらず、ひょんなきっかけで一緒に朝練をする機会が増え、週のうち数日は二人で朝練するのが日課になっていました。「なぜ自分のような下手くそと練習しているのだろう、もっと上手い人を誘って朝練した方が本人にとっては練習になるのに。」3年間抱いていた疑問でした。振り返る中で、そんな些細な疑問すら解消せずに、今になっていることに気づいたのです。(しかも深夜3時。)

「きっと自分と関わった人は、一部の世界線で交わったに過ぎず、その後のことを知ることはないまま死んでいく。」

そんな普段意識していなかった事実に絶望した当方は、なんとか切り替えるために色々と検索する中で、一つの法則を見つけました。

ピーク・エンドの法則とは

概要

皆さんは「ピーク・エンドの法則」というのを知っていますか。これは、2002年にノーベル賞を受賞した心理学者のダニエル・カーネマンが提唱した法則です。

内容としては、「何を体験した時、主に私たちの記憶に残るのは、その出来事の一番印象深い部分(ピーク)と、その終わり(エンド)だけである」というものです。

実体験に当てはめてみるとそうだな~と思うのですが、大学時代に教員免許を取るために4年間、様々な教職科目を受講し、介護等体験や教育実習を行ったにも関わらず、記憶に残っているのは「教育実習」と「卒業式の日に教員免許状を受け取ったこと」だけです。

皆さんも、過去の出来事を思い返してみてほしいのですが、同じ所感を持つのではないかなと思います。

過去を振り返ることの問題点

「ピーク・エンドの法則」において言及されている、過去を振り返ることの問題点は、「過去の出来事に対する時間軸の感覚を思い出せない」ことにあります。

つまり、4年間教員免許を取ることに苦労したことについても、「大変だった4年間」の記憶は思い出すことが困難で、「まぁなんかいけるよ」みたいなことを後輩勢に話してしまうことになるのです。

これは、忙しい企業に勤めている人にも同様のことが起こりがちで、転職までは凄い大変だったはずなのに、転職した後に振り返ると、「あれも良い経験だった」といった所感を持ってしまいがちになります。絶対そんなわけないのに。

上記のように、「記憶の中で時間軸は曖昧になってしまう」ことに伴う弊害は、認識しておく必要があります。

過去を振り返りがちなときに意識すべきたった一つのこと

ここまでの内容で察する方もいるかもしれません。

過去を振り返りがちなときに意識すべきことは、「人の記憶は正しいものではないと認識する」ことです。

人が正しく認識できるのは今ここにある現実(現在)だけで、それ以外のものは必ず認知バイアス(思い込みによる誤解)が生じます。

そう考えると、いつだって集中すべきなのは今なのだと再認識できるのではないでしょうか。