「働き方改革」を進めるには、仕事への向き合い方改革が必要ではないか

はじめに

働き方改革関連法案(働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律)が2018年に可決され、2019年4月から施工され始めて、1年弱が経過しました。皆様の職場におかれても、様々な施策が行われて、試行錯誤がなされているのではないかと思料します。

一方で、仕事に従事する一社員として感じるのは、実態の伴った改革に向けては個人のマインドセットが必須になるということです。特に若手に向けて、個人が思うことを整理できればと思います。

定時に帰れるから楽になったのか

自分の職場でも大きな変化だと感じるのは、「残業への規制が厳しくなった」ということです。中には、一定の時間になったら会社のパソコンが強制的にシャットダウンしてしまうという話も聞いたことがあるくらいです。

個人的に、本取組みは大変難しいことを要求していると理解しています。つまり、「仕事のクオリティを変えることなく、これまでの労働時間を〇〇割圧縮してくれ」ということを、求めていることになります。

ここでのミソは、「お金をいただくお客様からクオリティを落としていいと言われているわけではない」ことにあります。

システム開発をしている人間からすれば当然ですが、「スコープ(業務の範囲)」「コスト(費用)」「納期」はトレードオフです。スコープが一定で、納期が短縮されたのであれば、コストを増やして増員を図り、単位時間当たりの労働力を増やすしかありません。しかし、会社の経営上、人件費が経費の大半を占める現実を捉えたとき、おいそれと人件費を増やす判断はできないというのが、実情のはずです。

ブラックな働き方は誰しも潜在意識の中に持っている

遅延している電車を見て、「ちっ」と思ったことがある人は私だけではないはずです。また、システム障害で数日ATMが止まっているときに、「なんでだよ」と思う人も多いはずです。

世の中のサービスは、誰かの仕事によって成り立っています。高いサービスレベルの維持の背景には、一生懸命歯を食いしばって頑張っている誰かがいるはずです。昨今のAmazonプライムでは、注文から当日・翌日に手元に届き、大変便利である一方で、運用業者の方の労働環境が問題となっています。

少し想像力を働かせて考えると当たり前のことですが、自分含めて、割と忘れがちな観点なのかなと思います。

このように考えると、

「多少のサービスレベル低下を許容するマインドセット」の醸成こそが最も解決が難しい課題なのかなと、個人的には考えます。

終わりに

物事の変革には、ハード面・ソフト面両面からのアプローチが重要です。

日本が法治国家である以上、法が施行されたことは大きな変化だといえると思います。しかしながら、実を伴った変革には、実行を担う人たちの行動面・思考面での変化も大切になります。

本稿が、社会を担う皆様の働き方を見つめ直すきっかけとなることを願っています。